解体費用の基本! 「解体工事の単価」について

解体費用の基本! 「解体工事の単価」について

解体工事に関する情報を調べている方なら、一度は「解体工事の単価」についての記述を目にされたことがあると思います。

実際のところ、解体工事における「単価」とは一体何を指すのでしょうか?

今回はそんな「単価」について、その定義から変動する要因まで詳しくご紹介していきます。

そもそも「単価」って何の単価なの?

解体工事における「単価」とは建物1坪(=約3.3㎡)あたりの解体費用のことを言い、「坪単価」と呼ばれます。(解体費用には純粋な工事費用のほか、解体によって排出された廃材の処分費も含めることが一般的です。)

この単価は建物全体の解体費用を求める時に用いられ、【坪単価(の相場)】に【延床面積(坪数)】を掛けることで、おおよその「建物本体の解体費用」が算出できます。

※「建物本体の解体費用」は「解体工事費用の総額」とイコールではありませんのでご注意ください。(これに付帯工事や追加工事費がかかります。)

詳しくは後述します「坪単価に含まれない工事がある」。

一軒家を丸ごと取り壊す解体工事のほか、店舗の解体工事などに多い「スケルトン解体」や「原状回復工事」などのいわゆる内装解体にも同様に【坪単価×延床面積】の式が用いられますが、内装解体は使われてる造作によって大きく単価は違ってきますので、一概に坪単価だけで見積もり金額を出すのは困難と言えます。

延床面積とは?

解体費用の総額を予想する上で、まずは物件の「延床面積」を知っておく必要があります。

延床面積とは、建物の各階の床面積を合計した面積のことです。 たとえば、2階建ての建物で1階の床面積が20坪あり、2階の床面積が15坪といった場合の延床面積は「35坪」となります。(吹き抜け部分や庇(ひさし)、ポーチなどは延床面積には含まれません。)

※ご自身の建物の延床面積が分からない場合は、登記簿謄本を取得することで容易に確認できます。

坪単価の相場は?

最も気になる坪単価の「相場」は、下記の通りです。

※ここで言う“相場”は、あくまでも「物件の前面に十分な道路幅があり、解体重機やトラックが余裕をもって進入可能、かつ廃棄物の量・価格が平均的」という条件が前提にあるとお考えください。また、地域性や物件の状況などによっても前後します。

・木造:坪あたり約2.5~3.5万円(30坪の物件で90万円前後)
・鉄骨造:坪あたり約3~4万円(30坪の物件で110万円前後)
・鉄筋コンクリート造:坪あたり約5.5~6.5万円(30坪の物件で180万円前後)

木造住宅が一番安く、次いで鉄骨造、鉄筋コンクリート造の順に単価が上がっていくのが一般的です。

※ご自身の建物の構造が不明な場合は、延床面積と同様に 登記簿謄本を取得することで容易に確認できます。

【関連ページ:全国の地域別解体費用例】

解体工事の坪単価が変動する要因

建物の構造以外にも、坪単価が変動する原因は様々存在します。

ここで、代表的な要因をいくつか挙げていきましょう。

解体する物件の前面道路幅・敷地の広さ

解体する物件の立地条件は、解体費用の坪単価に影響する最たる要因だと言っても過言ではありません。

例として、前面の道路や敷地の広さに余裕がないと解体重機の進入が難しく、手壊し解体となる可能性があります。

そうなると重機での解体時よりも多く(2倍程度)の時間がかかるため 工期が通常より長くなりますが、全体のコストも当然上がりますので、坪単価にも影響してしまうのです。

解体する物件の規模

解体したい物件の規模が大きければ大きいほど、坪単価は安くなる傾向にあります。

理由としては、たとえば撤去・処分費といった「物件の大きさ(≒処分が必要な廃棄物量)」に直接関係する費用はそれに比例して増えていきますが、ほとんど規模の影響を受けない費用(人件費や養生費等)は余程ス

ケールが上がらない限りは据え置きとなるのです。

総額で見比べれば高いように思えても、坪単価に直すと割安になるのはこのためです。

延床面積が2倍・3倍だからといって解体の坪単価も単純に2倍・3倍と上昇していく訳ではない、ということを押さえておきましょう。

解体物件の建っている地域

相場を目にしてしまうと「自分の地域でもこれくらいの値段で解体できるのか」と思い込んでしまいがちですが、解体工事の坪単価というものは地域が異なるだけでも大きく変わることがあるため、注意が必要です。

それなら「安い地域の解体業者に出張してもらえばいいのでは?」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、遠く離れた地域の解体業者に出張してもらうことはまず難しいと思ってください。物理的に離れていると、移動距離によっては交通費が高くつく場合もあったり、職人さん達の労働時間も短くなりますので、得策とは言えません。

また、そもそも「解体物件のある都道府県知事から、解体工事業登録(または建設業許可)を受けている」「ことが大前提ですので、たとえば埼玉県にある物件を隣の栃木県の解体業者に解体してもらいたくても、その業者が埼玉県でも登録がなければ法的に工事を請け負うことが不可能なのです。(建設業許可の場合はその限りではありません)

いずれの地域でも、地方に行くほど坪単価は下がりやすく、逆に住宅や店舗が密集したエリアに近いほど坪単価が上がる傾向にありますが、理由の一つとしては「廃棄物の処分場(中間処分場および最終処分場)の数の違い」が挙げられます。

解体後に排出される産業廃棄物は、最終的に必ず処分場へと持ち込まれますが、この処分場までの距離が遠ければ遠いほど、運搬費や人件費がどうしてもかさんでいきます。

建物が密集した地域では、そうした巨大な敷地を要する処分場を構えることができないため、必然的に解体現場からの距離が遠くなることは想像に難くないでしょう。こうして余分にかかった処理コストの差分が坪単価に反映されてしまうのですね。

屋根に使われている材料

トタン・瓦・スレートなど、屋根材にも種類があります。

それぞれの素材によって撤去・処分にかかる費用が変わってきます(上に挙げた順に高くなります)ので、特殊な屋根材を使用している場合は特に考慮しなければなりません。

坪単価を極端に安く表現する解体業者に注意!

上で紹介した相場をあまりにも下回る単価で見積もり提示してくる業者には注意が必要です。

「坪単価は廃材の処分費も含んでいる」ことが一般的であるとご説明しましたが、上記のような解体業者は、ほぼ確実に“処分費を入れない純粋な工事費用だけ”を元にした坪単価を提示していると言えます。

するとどうなるかというと、激安の単価を信じて依頼した施主に対し、後々「これに処分費が追加でかかるので、実際の総額は◯◯円になります」などと後出しの見積もりを提示してくるのです。この後出しの処分費を最初の見積もり金額に合計してみると結局相場と変わらない坪単価であったり、悪質な場合は相場よりも高い金額になっている、ということもままあります。

契約を取りたいがためにそういった詐欺まがいの激安坪単価を謳っている業者に工事を依頼してしまうと、他のトラブルも付随してくる可能性も跳ね上がります。

繰り返しになりますが、「処分費が全くかからない」というのはまずあり得ないことです。誇大広告に惑わされず、最初から処分費を含んだ坪単価で見積もってくれる良心的な解体業者を選びたいものですね。

坪単価に含まれない工事がある

含まれないというよりも、「あらかじめ含むことができない」と言った方が近いかもしれません。

たとえば敷地内にある倉庫や植木・庭石の撤去などがこれにあたり、他にもカーポートやブロック塀・井戸、また地中障害物の撤去などが考えられます。

いずれも「建物本体以外の要素」となりますが、これらは「付帯工事」「追加工事」と呼ばれ、地域よりも業者ごとに単価の差が出るケースが多く、通常は坪単価には組み入れません。

ですので、坪単価をもとにご自身の解体費用の「総額」を求めたければ、【坪単価×延床面積】に【付帯工事にかかる想定額】を足して考える必要があります。

できればこれに「想定外の追加工事が発生した場合の費用」として数十万円ほど余裕をみておくことができれば、より現実的な数字に近づくでしょう。

【関連ページ:解体工事の「付帯工事」について】

まとめ

解体工事の坪単価についてご説明してきました。

一定の目安になる数値であることは確かですが、実際のところ、平均的な坪単価だけでは個々の物件の解体費用総額を正確に求めるのは難しいということをお分かりいただけたと思います。

もし解体工事を具体的にお考えなら、「これくらいで済むだろう」という楽観的な予想をもとに資金計画を立てる前に、実情に基づいた正確な見積もりを取得されることをおすすめいたします。

解体サポートでは、本記事で挙げたような「激安単価」で見積もりを行うような解体業者をご紹介することは絶対にありません。ご相談者様の安心のため、すべての解体業者と一度面会してから提携させていただいておりますので、提示された見積もり以外の追加費用がかかるということもございません(合意の上での追加工事を除きます)。

ご相談だけでも結構ですので、解体工事にお悩みの方はお気軽にお問い合わせください。