ここに注意!ビルやマンションの解体工事

日本の一般的な家屋の大半が「木造二階建て」という構造であるのに対し、ビルやマンションなど大型の建物の多くは、鉄筋コンクリート(RC)造または鉄骨鉄筋コンクリート(SRC)造である場合がほとんどです。
このような「頑丈で巨大な建物」を解体するには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか?

鉄筋コンクリート造の建物の特徴

そもそも、鉄筋コンクリート造の建物とはどのようなものを指すのでしょうか。

鉄筋コンクリート造の建物の特徴

簡単に言えば、「鉄筋で骨組みを作り、その周囲をベニヤなどの型枠で囲んで、そこへコンクリートを流し込んで作られた建物」のこと。耐震性や耐火性に優れており、6~7階建てマンションなどの中高層建築物に多く用いられています。
※「RC」という語は、「Reinforced Concrete」の頭文字をとった略称です。
関連リンク:【解体用語辞典:鉄筋コンクリート造】

同じような名前の建築物として、「鉄骨造」「鉄骨鉄筋コンクリート造」が存在しますが、どちらも似て非なるものです。(概要は以下の通りです。)

【鉄骨造(Steel)】
「重量鉄骨造」と「軽量鉄骨造」の2種類があります。
重量鉄骨造は鉄骨自体がとても丈夫なので柱の本数が少なく、軽量鉄骨造よりさらに設計の自由度があります。大きい空間のある建物も建築することができ、耐用年数も長いのが特徴です。
軽量鉄骨造は“軽量形鋼”と呼ばれる鋼材で建物の骨組みを組み上げる建築物のことで、燃えにくく耐久力が高い上、品質も安定しているので設計の自由度が高いことが特徴です。
重量鉄骨と軽量鉄骨の一番分かり易い違いは、鋼材の厚みが6mm以上のものを重量鉄骨、6mm未満のものを軽量鉄骨と言います。
関連リンク:【解体用語辞典:鉄骨造】

【鉄骨鉄筋コンクリート造(Steel Reinforced Concrete)】
骨組みを鉄骨で、その周囲を鉄筋コンクリートで造り、そこへ床や壁をはめ込んだ建物のことをいいます。
耐久性・耐震性は抜群ですが、重量がとてもあるので、基礎も大きくしなければなりません。また工期・費用とも高価になるので、一般的には高層建築物などの建築する際に用いられています。また解体費用も、その他の建築物のなかでも最もコストがかかります。
関連リンク:【解体用語辞典:鉄骨鉄筋コンクリート造】

頑丈だからこそ、解体工事はとても大変!

鉄筋でできた骨組にコンクリートを流し込んで作られたもの…と、その工法を聞くだけで「どうやって壊すんだろう?」という素朴な疑問が浮かんできますよね。
実際もその通りで、RC造やSRC造の物件の解体は非常に骨の折れる作業になりますしより解体業者の専門性も問われます。

まず、鉄骨+コンクリートという、異なる上にどちらもそれぞれの特性を持った大変壊れにくい素材を組み合わせて使用しているため、解体には大型の重機が必要となります。
そのため、費用も通常の木造家屋や単純な鉄骨造の建物と比較すると、高額となります。
では、その高額な解体費用を少しでも抑えた上で安全な解体工事を遂行するには、具体的にどんな事に気を付ければよいのでしょうか?

■入念な現場調査・家屋調査を!
入念な現場調査・家屋調査を!

ビルやマンションなどに限らず どんな建物を解体する場合でも、実際の工事に入る前段階で建物の強度や地盤・基礎の状態、敷地周り・近隣の状況などを(可能な限り施主様と一緒が望ましい)確認します。
また、建材や吹き付け素材にアスベストが使用されていないかどうかもチェックし、安全管理に欠かせない足場・養生や適切な廃材の処分方法なども併せて検討することになります。

また、ビルやマンションなどの頑丈な物件の場合、近隣の住宅に対し「解体工事の影響による破損等がないこと」を証明する目的で事前に行う家屋調査も実施します。

家屋調査をせずに解体工事をしてしまうと、全てが終了した後に近隣の方から「(あなたの建物の解体工事のせいで)外壁にヒビが入った!」などの苦情が届いた場合に、そのヒビが本当は工事前から存在していたとしてもそれを証明することができず、補修費を施主側が負担しなければならなくなるなど、追加の出費に繋がる可能性があります。 関連リンク:【解体用語辞典:家屋調査】

そのようなトラブルを避けるためにも、事前の調査を入念に行い、写真などで第三者が見ても明らかな証拠を残しておくことが大切です。

■近隣対策と安全管理の徹底!

大きく頑丈な鉄筋コンクリート造の建物。解体に伴う騒音・振動の大きさも、当然ながらその建物の規模に比例します。
コンクリートの部分を壊す際に発生する大量の粉塵も避けられませんので、より大掛かりな粉塵対策が必要となってきます。(このような周囲への影響が大きい工事では、「特定建設作業届」の提出が必要になります。)

また、現場の安全管理も常に徹底しなければなりません。通常の木造物件解体でも細心の注意を払う必要があるのは同じですが、高所作業や危険な作業の多い解体となると、少しの間違いが重大な事故に繋がるのです。
そうなると実際に工事に当たっている解体業者だけでなく、近隣の住宅へも被害が拡大することが考えられます。その他、道路をふさぐ場合は通行人への安全対策が必要となるなど、考えるべきことは多岐に渡ります。

■解体中に出た廃材の処分方法にも注意!

現在は建設リサイクル法により、解体時に発生した廃棄物は分類する必要があります。
関連リンク:【ミンチ解体】
関連リンク:【建設リサイクル法】
ここで廃材を分別する問題が出てきます。鉄筋コンクリートは鉄筋を芯にしてコンクリートが覆っているため、それをコンクリートと鉄筋に分解する必要があります。しかし非常に頑丈なため、重機などを利用して潰していく作業をおこなうのですが、木造や鉄骨造と比べると構造が複雑です。そのためさらに手間がかかり、大がかりな工事になってしまうのです。そしてさらにコンクリートと鉄筋とを分類して処分場へと運搬しなくてはなりません。そのため処分するためのコストも木造や鉄骨造にくらべて高額になってしまいます。

解体後に鉄筋は業者に持ち込めばお金になりますが、コンクリートを完全に除去するのは難しいので、鉄として再利用しにくく価値が下がってしまうのが実情です。

最終的には「依頼する解体業者」さん次第

このように、ビルやマンションなどのRC造・SRC造の物件の解体工事には、比較的小規模な木造・鉄骨造物件の解体工事よりも入念な計画性・近隣対策・現場管理力が求められます。
そのため、木造家屋をメインに解体業を営まれている業者さんなどはこういった大規模な工事を苦手とし、受注することができない場合も多々あります。
通常の解体よりも選択肢が少ない中で、より優良・安全な解体業者さんに依頼することが、無事に工事を終えるためのカギになってくるということですね。
こういった当然の管理・準備ができないままに「目先の売り上げの為に」無理して受注してしまう解体業者さんも中には存在しているようですので、業者選びには十分にご注意ください

解体サポートでは、RC造・SRC造などの大型物件の解体実績の豊富な業者さんをご紹介することが可能です。
実際にお会いして納得した解体業者さんとしか提携しておりませんので、現場管理力はもちろん、必ず保険に加入いただいているため、万が一予期せぬ事故が起こってしまった場合でもしっかりとご対応することができます。

また、具体的な解体費用の相場が知りたい!という方には、こちらの【RC造ビルの解体費用例】をご覧いただくことをおすすめしております。
解体工事を無事に終えられた実例を掲載しております。構造や立地条件によって大きく差が出てきますのであくまで参考の例とはなりますが、是非ご自身の地域でお調べになってみてください。

●この記事を読んだあなたにおすすめ

企業様・法人様向けサービスについて
ビルやマンションの解体工事
改正マンション建て替え円滑化法