最新版! 空き家の活用方法について
「空き家」を持つということについて意識するようになった方は多いのではないでしょうか。ご両親から実家を相続したり、自分自身が賃貸物件への住み替えによって戸建ての自宅が不要となるなど人によって理由は様々でしょう。
そうした空き家を使わなくなってからもそのまま何もせず放置していると、固定資産税や管理費用だけがひたすらかさみ、まさに“負の資産”、“負動産”となってしまいます。
せっかく持っている物件も、有効活用しなければ“宝の持ち腐れ”…。しかし、使いようによっては素晴らしい正の資産となる可能性のある“富動産”となる可能性も秘めているかもしれません。
そこで今回は、最新の空き家の利活用方法とそのリスクについて詳しくご紹介していきたいと思います。
【先読み!この記事の結論】
- 空き家は増加傾向にあり、日本国内に約846万戸存在している
- 空き家を活用する方法は意外に多い!
- 所有物件や周辺環境の価値・ニーズを事前に知ることが重要
<目次>
- 空き家の現状について
- 空き家の活用アイデア7選
・売却/空き家バンクに登録する
・住居(一般的な賃貸物件)として貸し出す
・解体して土地を活用する(駐車場・レンタル倉庫など)
・所有者自身が利用する(別荘・店舗経営)
・シェアハウス/シェアオフィスとして貸し出す
・宿泊施設として貸し出す
・保育園として貸し出す/運営する - まとめ
1.空き家の現状について
現在、日本国内には約846万戸もの空き家が存在しています(2019年の最新調査時点)。
2013年に行われた前回の調査時からは約26万戸増加しており(途中、2015年に「空き家対策特別措置法[以下「空き家特措法」]が施行されたこともあり、増加率自体は鈍化していますが)、空き家の利活用がなかなか思うように進んでいないことが分かります。
また、2020年に国土交通省が発表したデータによると、空き家特措法が施行された2015年から5年でに特定空き家(倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある物件/老朽空き家)の代執行(自治体が強制的に行う特定空き家等の解体処分)が実施された例は、行政代執行・略式代執行合わせて全国で260件にも上っています。
一方で、空き家バンクなど「空き家の活用を促進する施策」を行っている自治体も増えており、2021年9月時点では全国で500以上もの自治体が空き家バンクを設立・運営していることが分かっています。
参考(外部リンク):「空き家対策に関する実態調査結果報告書 平成31年1月 – 総務省行政評価局」
2.空き家の活用アイデア7選
昨今の空き家増加の流れを受け、自治体も続々と各自の空き家対策に踏み切っている状況ですが、やはり所有者自身が自分の物件を上手に利活用することが空き家を無駄にしないための一番の近道です。
たとえば、自分自身の住居や事業拠点として利用する・リフォームして貸し出す・空き家バンクに登録/売却する・最終的には解体して土地を活用する…といった具合に、空き家の立地条件や劣化状態、周囲のニーズ等によって様々な方法が考えられます。
まずは活用したい空き家にどの程度の資産価値があるのか、また周辺環境がどのような状態なのか、といった点を洗い出した上で、以下に挙げる7つの活用方法を参考にしてみてください。
■売却/空き家バンクに登録する
ご自身での利用予定がなく、かつ賃貸物件としての需要もあまり見込めないといった場合には、思い切って売却してしまう手もあります。
不動産仲介業者に売却を依頼する場合は、全国の不動産物件情報交換システムに登録されるため購入希望者が比較的見つかりやすいようです。
空き家バンクに登録する場合は、手数料や登録料といった費用が発生しない代わりに、ターゲットがやや限られる(「空き家バンク」の存在を知っており、情報を積極的に取り入れようとする感度の高い人)点と、基本的には当事者同士でのやり取り(物件所有者 対 購入希望者)となる点が気になるかもしれません。
上記のどちらか一方のみを利用しても良いですし、売却を急ぐ場合は両方に登録してより多くの人の目に留まるようにしても良いでしょう。ご都合に合わせて手段を検討してみてください。
私たち解体サポートには不動産部門も併設しておりますので、空き家の売却をお考えの方はお気軽にご相談ください。
■住居(一般的な賃貸物件)として貸し出す
最もオーソドックスかつ、比較的収益を得やすい方法です。
物件の状態が良好であればそのまま貸し出すこともできますし、修繕が必要な箇所があればその部分のみをリフォームし、最低限の初期投資で「大家さん」になることも可能です。
もちろん建物(内装)全体をリフォームして物件価値を高める=入居率を上げる方法もあります。
建物そのものの状態、また周辺環境によって想定される家賃設定などが大きく変わってきますので、まずはご自身がお持ちの空き家周辺の家賃相場や地価などを調べておおよその収益予想を立ててみましょう。
また、最近需要が増えていて注目されている「DIY型賃貸物件」として貸し出すという手もあります。DIY型賃貸とは、物件の内装を借主の好きなように出来る代わりに、リフォームに係る費用の一切(もちくは一部)を借主に負担してもらうというもので、元々の建物の状態によっては所有者側での修繕が全く必要なくなるケースもあります。
実際に空き家所有者の方から解体サポートにお問合せを頂き、空き家をそのままの状態で賃貸に出して、ひと月の家賃4万円で定期借家として3年間運用し、3年で144万円の家賃収入を得て解体費用をまかなえたという事例もあります。
私たち解体サポートには不動産部門も併設しておりますので、空き家を賃貸物件として貸し出したいという方はお気軽にご相談ください。
■解体して土地を活用する(駐車場・レンタル倉庫など)
建物の劣化・老朽化がひどくそのまま活用できないといった場合でも、建物を取り壊して「土地」を活用するという手段が残っています。
たとえば駐車場(コインパーキング)やレンタル倉庫(貸トランク)、コインランドリーなど、様々な方法があります。
上記のような土地活用を行う場合は、建物の解体費用や営業のための初期費用をどれ位の期間で回収できるのか、需要・持続性はあるのか等、ご自身の経済状況(※)と相談しながら事前によく計画しておきましょう。
※…建物の解体を行うと固定資産税等の軽減措置の適用が外れ、税率が元に戻る(軽減時の6倍程度)点に注意が必要です。
■所有者自身が利用する(別荘・店舗経営)
最も身近な活用方法としては、所有者自身が住むための別荘として利用したり、内外装に手を加えて飲食店などの店舗を経営する、といった「自ら利用する」方法です。
たとえば喫茶店やギャラリーなど、「昔からやってみたかったこと」がある方は、持て余した空き家を使って挑戦するチャンスと捉えるのも良いでしょう。
ただし、こうした店舗を開業する際の注意点として、立地条件によっては営業に適さない場合も少なくないため、周辺地域の人通りや商店街の有無を事前に調査するなど「需要が見込めるかどうか」をしっかり見極めなければなりません。
また、自らの別荘として利用する場合は、この後で登場する「宿泊施設」として貸し出す方法とうまく組み合わせることができれば、空白期間なく効率的に運用することも可能となります。
■シェアハウス/シェアオフィスとして貸し出す
一般的な賃貸物件として貸し出す方法と類似していますが、こちらは“シェア”、つまり複数人に一つの物件を使用してもらう活用方法となります。
一軒家を通常の賃貸物件として貸し出す場合、基本的には1世帯分の賃料しか見込めませんが、シェアハウス/シェアオフィスとして入居者を募ることによって、費用を負担する人数(世帯)が増える=賃料の上積みが可能となるかもしれません。
(賃料10万円の一軒家に1世帯のみが入居する場合と、賃料14万円の一軒家に2世帯が入居する場合とでは、後者の方が入居者一人あたりの負担額が少なく、また貸し出す側にとっても賃料収入が割増となるためWin-Winの関係となりますよね。)
特にシェアオフィスは文字通り「オフィス」として利用されるもので、その場で生活を営むわけではないため、水回りなどの劣化がかなり抑えられるというメリットもあります。
広い一軒家を丸ごと借りたい個人や家族よりも、一つの家を複数人で借りてなるべく費用を抑えたい、という需要の方が高まっている時代ですので、「同じ住居を他人同士がシェアする」という利用方法に抵抗がないという場合、検討してみる価値は大いにあると思います。
■宿泊施設として貸し出す
空き家の立地環境が観光地および観光地に隣接した地域であるなど、宿泊施設の需要が高いエリアだと判明している場合は、宿泊施設としての貸し出しを検討しても良いでしょう。
「宿泊施設」とは、旅館業法ないし民泊新法で規定されているいくつかの施設形態の総称です。具体的には旅館・ホテル営業(部屋貸し/一般的な旅館・ホテル)、簡易宿所営業(スペース貸し/カプセルホテル等)、下宿営業(利用者が1ヶ月以上の長期間宿泊する施設)に民泊(・特区民泊)を加えた4種類となります(民泊に明確な定義はなく、営業形態によっては簡易宿所に当てはまる場合もあり)。
AirBnBやHomeAwayといった民泊情報サイトの知名度が上がってきた昨今、この「宿泊施設としての貸し出し」は空き家の活用方法としても注目されています。
特に個人として空き家を貸し出したいのであれば、比較的営業許可を取りやすい「簡易宿所営業」ないし「民泊(・特区民泊)」として開業するのがベターです。とりわけ“放置している空き家をそのまま宿泊施設にできないか”と考えている場合は、民泊新法における「家主不在型」というタイプが最適でしょう。
■保育園として貸し出す/運営する
立地条件によっては厳しいかもしれませんが(日中、子どもの声が聞こえる事に対し難色を示す近隣住民との対立など)、保育園は確実に需要の高い活用方法の一つです。
個人所有の物件であれば、家庭的保育事業や小規模保育事業・グループ保育室といった形で自ら運営することもできます(保育士の資格や実務経験が無くとも、保育園の開業自体は可能です)し、運営には関わらずに“場所貸し”のみを行いたければ、開業スペースを探している保育事業者に対し「大家さん」として貸し出すことももちろん可能です。
お近くの不動産仲介業者や自治体に出向き、保育園の開業場所のニーズがないかどうか確認してみると良いでしょう。
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この他、「当面は何もせずに現状維持だけしておきたい」という場合は住宅管理(空き家管理)サービスを提供する民間企業に依頼したり、自治体に相談して「公営住宅として貸し出す」、また「高齢者向け住宅や介護施設として貸し出す」という選択肢もあります。
ただし、収益ばかりに気を取られてあまり気の進まない方法を選んでしまうことのないよう、まずは一番重要な「ご自身がどのような形で活用したいのか、処分してしまうのか」ということを常に念頭に置いた上で、一通りの活用方法を検討してみてくださいね。
3.まとめ
今回取り上げたもの以外にも、勿論まだまだ沢山の活用方法があるはずです。全国に存在する空き家の数だけ可能性があると言っても過言ではないでしょう。
どの方法で運用を行うにしても、まずはニーズや収益性・コンセプト等、事前に検討できる項目はとことん練っておくことが大切です。それも自分ひとりではなく、専門知識のある第三者(不動産関係業者・自治体等)の意見があるとより心強いものになります。
この記事が「今、まさに空き家を持て余している」「相続する予定の空き家の処分方法に悩んでいる」という方の参考になれば幸いです。
解体サポートは不動産部門も併設しておりますので、こうした空き家の活用方法についてのアドバイスも行っております。必ずしも「解体」に関するご相談でなくても大丈夫です。
個々の状況や所有者様のご希望に沿った最適な利用方法のご提案をさせていただきますので、今現在空き家の事でお悩みの方は、どうぞお気軽に解体サポートへお問い合わせください。
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