知っておきたい 相続登記義務化について
日本全国の空き家総数は約846万戸あり、その空き家は社会的な問題になっています。
空き家は全国的に大きな行政課題とされていますが、空き家を放置してしまうのはその所有者が特定出来ないことも理由の一つとされています。
所有者不明の土地の割合は日本全体で約410万ヘクタールもあるとされており、なんと九州地方の土地面積を上回る面積です。
この所有者不明の管理されていない不動産が近隣住民の迷惑になったり公共事業に支障が出たりもしています。
2021年3月5日の閣議会議ではこれまで問題視されてきた所有者不明の不動産問題を解決するべく、民法、不動産登記法等の改正が決まりました。
今後国会で成立後、2023年度に施行される予定ですがその内容とは。
【先読み!この記事の結論】
- 今後、相続登記、住所変更登記が義務化される
- 違反すると罰則規定も設けられる
- 土地を国庫に返納できたり活用や売却がしやすくなる
<目次>
- 今後、相続登記が義務化される
- 住所変更登記も義務化される
- 現段階の相続登記関連の法案改正内容
- 耳より情報
- まとめ
1.今後、相続登記が義務化される
まず、相続登記とは不動産の所有者が亡くなっ方時に不動産の名義を変更する手続きの事です。
今まで相続登記は任意だったのですが、この法案が可決、施行されれば義務化されますので仮に相続をしたくないような物件だとしても相続の手続きをしなければならなくなります。
所有者が分からなくなってしまう一番の原因として相続登記が行われていないことがあるとされていますが、そこで今後法案が可決、施行されると、放置されている多くの空き家の管理所在が明らかになります。
2.住所変更登記も義務化される予定
また、登記上の住所変更登記も義務化されます。
こちらも問題となっている所有者不明の不動産が増加している原因とされているためです。
なぜなら、登記上の住所をたどってもその所有者の住所が変更されている場合は所有者に辿り着けないからです。
今後は住民基本台帳ネットワークシステムを活用して、法務局が住所変更の情報を把握すると、登記上の住所変更を法務局が行うことができるようになります。
3.現段階の相続登記関連の法案改正内容
【相続登記の義務化】
- 施行時期:相続人であること、および遺産に不動産があることを知ってから3年以内
- 違反した場合は10万円以下の過料
【住所変更登記の義務化】
- 施行時期:住所を変更してから2年以内
- 違反した場合は5万円以下の過料
ただし一律で過料に処されるわけではなく、何らかの「登記できなかった正当な理由」があれば免除される予定です。
4.相続登記義務化によって耳よりな情報
●売却がしやすくなる
複数名が共有で不動産を所有している場合で、その中の一人でも所在が不明などで協力を得られない場合、現行の法律上ではその不動産は売却が難しくなりますが、今回施行される法案では、裁判所が確認したうえで公示し、他の共有者の同意が得られるようなら売却ができる制度も新設されます。そのため建物の改修や土地の利用目的を変更しやすくなるといったメリットがあります。
●土地を国庫に返納できる仕組みも
相続した土地の管理が難しいような場合、例えば原野や山林など、相続人からしてみればいらないような不動産について、建物や土壌汚染等がない、担保権等がついていない、境界について争いがないなどの一定条件を満たせば土地を国庫に返納できる仕組みも導入されます。
●遺産分割に期限が設けられる
相続するうえでは、相続人の間で「分割」についてもめることも少なくないでしょう。遺産分割協議が進まないこともまた、相続登記ができない要因の一つだとされています。
改正後には、10年間遺産配分が決まっていなければ「法定割合」で分割されたものとみなされます。
5.まとめ
空き家をお持ちの方は相続の事でお悩みの方が多いかと思います。
解体工事自体は相続登記を済ませなくても工事は可能ですが、現在の名義人や相続人が分かるようでしたら、解体をする旨の許可は得ておきましょう。
しかし法改正を待たずとも、不動産を相続した時に相続登記をしておかなければ売却をしたり、担保にいれたりする事が出来ないというデメリットもあります。
いずれにしてもこの法改正が2023年度に施行されれば空き家問題解決のひとつとなるでしょう。
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