意外と多い!アスベスト含有 戸建て住宅の解体

アスベストが使用されているのはビルや工場など、大きな建造物だけではありません。一般の戸建て住宅でも、アスベスト含有建材が使用されている場合があります。

「ウチは使われていない」と思っていても解体業者が現地調査をしてみると、アスベスト含有成形板が使用されていたということも少なくありません。

レベル3で飛散性が低いといえどもアスベストは危険な物質です。撤去は近隣住民に健康被害を与える可能性もある工事ですので、ここではレベル3のアスベストについて解説していきます。

先読み!この記事の結論

  • アスベスト含有成形板は飛散のリスクは低いが工事の際は注意が必要
  • 2006年以降に新たに建てた建造物には使用されていない。
  • スレート屋根やサイディング外壁など、戸建て住宅でも使用されている
  • アスベスト含有成形板は飛散防止のため手バラシでの撤去
  • 作業の手間が増え、処分費も高額なため解体費用は割高に
  • アスベストが含まれているのに激安な業者は要注意

<目次>

  1. アスベスト含有成形板(レベル3)とは
  2. いつまで使用されていた?
  3. アスベストの危険性
  4. 戸建て住宅に多い含有建材
  5. アスベスト含有建材の撤去作業方法

1.アスベスト含有成形板(レベル3)とは

平板や波板状のものがあり、耐火・耐久性等を目的に内装材・外装材・屋根材として広く使用されています。

割れにくい建材なのでレベル1やレベル2と比べて飛散のリスクは低いといえますが、破断・粉砕等によりアスベスト繊維を飛散させる恐れがあるので、手バラシにより取り外しを行う等の注意が必要となります。

2.いつまで使用されていた?

アスベストは1970年代から90年代に大量に使用されてきましたが、並行して規制も徐々に厳しくなっていき、2004年にアスベスト含有率が1%を超える建材、摩擦材など10品目の製造、輸入、使用が禁止されました。

そして2006年にはアスベスト含有率が0.1%を超える製品の製造、輸入、使用が禁止されることになりました。

これによって2006年以降に新たに建てられた建造物には使用されていないと考えられますが、それ以前の建造物には使用されている可能性があると考えておいた方がよいでしょう。

3.アスベストの危性

アスベストは鉱石が繊維状に変形したもので、髪の毛の約5,000分の1と非常に細く、飛散していると人が呼吸をすることで自然と吸い込んでしまいます。

非常に細い繊維状のアスベストが空気中に飛散しても目で確認することはできません。

吸い込んでしまったアスベストは鉱石なので吸収されず、細かな繊維が肺の表面に突き刺さってしまうのです。

これが蓄積されると以下のような重い病気になります。

・じん肺

肺が線維化していき、息切れやせき等の症状が現れ、重症化すると呼吸機能が低下し、日常生活に障害をもたらします。

・肺がん

肺の気管・気管支・肺胞の一部の細胞ががん化し、せき、痰、血痰といった症状が現れるのが一般的です。

・悪性中皮腫

肺を取り囲む胸膜や腹膜などにできる悪性の腫瘍です。

胸膜中皮腫では、息切れ、胸痛が多くみられ、腹膜中皮腫では、腹痛、腹部膨満感、腹水貯留などの症状がみられます。

アスベストは上記のような非常に怖い病気を引き起こす可能性があります。

しかし、空気中に飛散することで健康被害をもたらすため、建材として使用されている住宅に住んでいるだけでは特に被害はないといえます。

4.戸建て住宅に多い含有建材

)スレート

戸建て住宅で屋根材に使用されていることが多く、解体工事の際は手バラシになります。

非飛散性ですが、一般的な産業廃棄物のように破断・粉砕すると飛散してしまうため、中間処理ができず、梱包をして最終処分場に持ち込まなくてはなりません。そのため通常の産業廃棄物の処分費と比較すると割高になります。

一般的な規模の戸建て住宅の場合、スレート屋根が使用されていると20~30万円程度の費用がかかります。

)サイディング

外壁、軒天井などの外装材に使用され、窯業系サイディング・金属系サイディングなどがあります。

窯業系サイディングはセメント質原料や繊維質原料を主原料とし板状に成形したもので、耐火性・耐久性に優れており、現在最も多く使用されています。

金属系サイディングは金属製の表面材に、断熱材を裏打ちして成形したもので、軽量で断熱性に優れているのが特徴です。

どちらもアスベストが含まれているものはすでに製造が終了していますが、解体を検討されている住宅は築年数によっては含まれている可能性があるので注意が必要です。

5.アスベスト含有建材の撤去作業方法

解体時に伴うアスベスト含有建材の撤去の際は作業員や近隣住民への健康被害を防ぐために以下のような対策が必要です。

  1. 石綿作業主任者の選任
  2. 適切な呼吸用保護具や防護衣または作業衣の使用
  3. 飛散を防ぐために抑制剤を散布または散水
  4. 手バラシ作業
    可能な限り破壊や破断をさせないように原則として手バラシで原形のまま除去
    取りはずしたアスベスト含有建材は高所から投下せず、慎重に運び出し
  5. 搬出時はアスベストを含む廃棄物は他の廃棄物と分けて、袋詰めあるいはシートで密閉
  6. 産業廃棄物として安定型最終処分場にて埋立て処分

まとめ

アスベストは成形板(レベル3)として一般的な戸建て住宅にも使用されている可能性があります。

かつては当たり前のように使われていたため、あなたの住宅にも含有建材が使用されているかもしれません。

飛散すれば危険な物質ですが、適切な撤去、処分方法で作業をすればそれほど怖いものではありません。

また、アスベスト含有建材が使用されている場合は工事の手間が増え、処分費も高額なため割高になります。

解体業者が工事を受注したいがために安い見積もりを提示し、ずさんな工事をするといったことはあってはなりません。

ご自身でも提出された見積もり金額が適正かどうかを見極める必要があります。

解体サポートでは依頼者に提出された見積もり書と同じものをチェックしております。提示された金額が妥当かどうかわからない場合はお気軽にご相談ください。

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