意外と知らない? 「解体屋さん」の仕事内容

解体屋さん=解体業者といえば、字面の通り「解体工事を業として営んでいる人や会社」を指します。

そもそも解体工事とは、マンションや戸建てなどの住宅や公共施設、倉庫・車庫といった「建築物」を取り壊す工事のことを言い、建物を建てる「建築工事」とは対になる工事です。

解体工事は毎日必ずどこかしらで行われていますので、誰しも街を歩いている際に一度は現場に遭遇したことがあるのではないでしょうか。「解体」というお仕事は、それほど人々の生活に溶け込んだポピュラーな工事・業種なのです。

今回はそんな解体業について、意外と知らない?仕事内容をご紹介していきます。

解体業の仕事の具体的な仕事内容・流れは?

まず、解体屋さんのお仕事=解体業について、具体的な内容と一般的な作業の流れをご説明します。

「作業員」の仕事内容

作業員(解体工)のお仕事は、人力や重機の使用によって建物の解体作業を進めることが主となります。

この「作業員」が解体現場の最前線に立っている職人さん達であり、一般的に想像される“解体工事のイメージ”に最も近い仕事内容であると言えます。

具体的には、ユンボなどの重機を操作して大まかな部分を壊す方法と、ハンマーやバールなどの工具や溶接機を用いて人力で解体する方法を適宜使い分けて作業することになります。
(立地条件(道幅が狭い等)によっては重機が入れず、人力のみで全てを解体する「手毀し解体」となるケースもあります。)

解体工事は常に危険が伴う作業の連続です。どんな現場でも、最前線に立つ作業員には安全への意識や近隣住民への気配りなどが求められ、天候にも左右されやすいといった環境を踏まえると「解体業において最もハードな仕事の一つ」ということになるでしょう。

そんな作業員の1日は、その日に行う解体作業の工程チェックから始まります。

担当する作業の段取り確認はもちろん、危険予測や天候のチェックも欠かせません。重機を使用する場合は少なからず粉塵が発生しますので、晴天~小雨程度であれば散水の準備も必要となります。

「オペレーター(重機運転手)」の仕事内容

オペレーターは重機を操作して建物の大枠(太い柱やコンクリート壁といった、人力での解体が難しい部分)を解体するのが主な仕事です。

これはどの作業員でもできる簡単なものではなく、重機の扱いに長けた技術力のあるベテランの職人が担当することになります。

作業としては大きな壁を取り壊すだけでなく、おおまかに崩した後の大きな瓦礫や破片を持ち運びやすいよう更に粉砕したり、運搬用のダンプカーへ積み込むといった作業も常時並行しています。

オペレーターの1日は、大多数の作業員と同じく その日に行う解体作業の工程チェックや危険予測から始まります。建物を支える重要な部分を取り壊す、といった大規模な作業がある日には、普段よりさらに入念な確認・準備を行います。

「鳶工」の仕事内容

鳶工(特に解体工事においては「足場鳶」)は、工事を始める前に工事現場の周囲に養生シートやパネルを設置し、作業を行うための足場を組んでいくというのが主な仕事です。

内容からして、工事の中心作業というよりも「縁の下の力持ち」的なお仕事になります。

重機やハンマーを使った派手な作業こそありませんが、養生シートやパネルは工事中の粉塵や騒音が外に漏れ出ることを防ぎ、足場は高所作業を行う上で無くてはならない存在です。

そもそも足場が水平でないと、その後の作業に影響を及ぼしてしまいます。解体を始める前に周囲を測量しておき、あらかじめ地盤の傾きを確認・計算した上で足場組みに取り掛からなければなりませんので、「侮るなかれ」なお仕事なのです。

(ちなみに「鳶工」という名の由来は、これらの仕事を担う職人が棟上の際に梁から梁へ文字通り「飛んだ」ため、「飛び=トビ=鳶」と言われるようになったそうです。ご存知でしたか?)※業者によっては自社で鳶工にあたる職人を雇用していないケースもあります。その場合は都度、現場単位で「鳶工専門の業者」に外注の形で依頼を行います。

「現場監督」の仕事内容

現場監督は、工事全体のスケジュールを取りまとめる重要な役割を担っています。

小規模な業者では営業と兼任しているケースも多く、仕事内容は多岐に渡ります。

予定を組み立てるだけではなく、全てが工程に沿って実行されているかどうか随時確認したり、安全性が保たれているか、近隣の住宅・住民に被害を及ぼしていないかどうかのチェックも欠かすことはできません。

現場が動き出す前の近隣挨拶・説明も行いますが、これを怠ると何かあった際に大きなトラブルに発展する可能性が跳ね上がりますので、リスク回避のための最も重要な仕事の一つでもあります。

万が一トラブルが起こってしまった場合にはまず状況を確認し、必要に応じて謝罪を行ったり、場合によっては弁護士を立てて話し合いを進めます。

「営業」の仕事内容

いくら技術に長けた職人が集っていたとしても、「仕事を持ってくる」人たちがいなければ解体工事は始まりません。解体業に限ったことではありませんが、営業というお仕事も全体にとって必要不可欠なパートです。

仕事内容は、顧客への問い合わせ対応や見積もり作成・工事内容の説明といった対個人のやり取に始まり、工事の提案・営業(対企業・ビルオーナー)、公共工事の入札申請(対自治体・官公庁)など内容は多岐に渡ります。

対人での仕事が多いため、人当たりが良く営業トークに長けていたり、事務処理能力の高い人に向いているパートです。

番外編:解体業者になるために必要な資格やスキルって?

どんな資格が必要?

解体業の中で資格が必要な職種といえば、重機を操作するオペレーターがそれにあたります。

逆に言えば、オペレーター以外は特に個人単位での資格が無くても「解体業者」になることは出来るということです。

※もちろん、企業全体としては建設業許可のうち「解体工事業」の許可を取得している必要があります。

あった方がいいスキルは?

生まれた時から解体に関する技術がある、という人はまず居ませんので、基本的にスキルは日々身に付けていくものになります。

強いて言えば、悪天候に見舞われたり危険と隣り合わせの作業が多い業界ですので、「強いメンタル」「高い安全意識」を持ち合わせていることは最低限必要かもしれません。

また、前身が建設関係であったり 解体に関する知識が人より多いなど、プラスになる要素はいくらでもありますので、少しでも有利に働きたい場合は事前に業界について勉強しておくのも良いでしょう。

まとめ

誰も住まなくなった空き家を取り壊す、新築工事のために古い家を更地にする、火災で崩れてしまった家を処分する…

どんな形であれ、「家の一生」の最後には解体工事がつきものです。

特に地震大国・日本に暮らす我々にとって、解体工事を行なってくれる解体業者は絶対に無くてはならない存在です。

中には我々の想像を絶するような過酷な現場も存在しますが、どんな現場であろうと、ほとんどの業者さんは日々まじめに誠意を持って取り組んでくれているはず。

今回知った「解体屋さんのお仕事」を頭の片隅に入れておくと、次に工事現場に遭遇した時に心の中でそっと感謝したくなるかもしれませんね。