リフォームに伴うお風呂(浴室)の解体工事 ~工法・費用について~

目地の黒カビや水垢汚れが目立ってきたり、冬場のタイル床の冷たさに辟易したり…。

お風呂のリフォームを考えるきっかけは人ぞれぞれですが、リフォームの方法や流れ・費用相場などはある程度決まっています。

今回は、日本の家庭で一般的に用いられている2種類の「お風呂」を軸に、解体方法やその費用についてご紹介していきます。

お風呂(浴室)の種類

まずはお風呂(浴室)の種類について簡単にご説明します。

システムバス(ユニットバス)

現代の日本の一般家庭で最も広く普及している、ユニット工法で作られた浴室です。ユニットバスとも呼ばれます。

ユニット工法とは、工場の段階で浴室の部材(天井や壁・床、浴槽など)をあらかじめ生産・ユニット化しておき、設置現場での作業負担を最小限にする(組み立てるだけの状態にしておく)ことで工事にかかる時間を大幅に短縮できる工法です。主にFRP(繊維強化プラスチック)という防水性の高い素材が用いられます。

※「ユニットバス」と聞くと、ビジネスホテルや賃料の安い賃貸物件にありがちな“浴槽・洗面台・トイレが一緒になったもの”を想像する方が多いかもしれませんが、これは狭義のユニットバスです。

先にご説明した、壁や天井・浴槽などの「浴室の部材」をユニット化して作られたという本来の意味での“ユニットバス(システムバス)”と、トイレや洗面台がくっついた“ユニットバス(2点ユニット、3点ユニット)”がしばしば同じ呼称で扱われる為このような混乱が生じていますが、「ユニット」という言葉が付いたからといって、必ずしも2点ユニットや3点ユニットの浴室を指すものではないことを覚えておいてください。

良くも悪くも効率的にパッケージングされた商品ですので、後にご紹介する「在来工法の浴室」よりも安価に施工できるというメリットがあります。

在来工法の浴室(在来浴室)

システムバスが普及する前から一般的だった工法(在来工法)で作られた浴室です。

在来工法とは、現場で浴室の大枠(ハコ)を作り、浴槽・シャワーといったパーツをそれぞれ個別に設置していく工法です。壁や床に使われるタイルも職人が一枚ずつ貼り付けていくため、組み立てが簡単なシステムバスよりも作業時間が多くかかる反面、ユニットバスのように素材の統一性(=縛り)はなく、浴槽はホーロー製・陶製・ステンレス製であったり、壁や床は木・タイル・石など好みのものが選べるので、デザインの自由度がかなり高いというメリットもあります。猫足バスタブに大理石床など、高級志向の施工も叶います。

その特性上、各パーツの素材や入手難易度によって施工費用が大幅に上下する工法でもあります。

解体・リフォームの方法とその費用

システムバス・在来浴室それぞれの解体/設置方法と、その費用をご紹介します。
※実際の費用や項目は施工業者や地域・個々の条件によって多少前後しますので、ここで挙げる情報はあくまでも一つの目安としてご覧ください。

システムバス・在来浴室に共通してかかる費用

いずれの工法であっても共通して必要となる費用は下記の通りです。

◯解体時の費用
・仮設工事(養生費や部材の搬入出にかかる費用):約3万円前後
・浴室全体の解体工事(壁床天井・浴槽の解体処分費用):約10~30万円

◯設置時の費用
・土間コンクリート基礎工事(浴槽を支えるための基礎作りの費用):約3万円前後
・木工事(入口ドアや壁・浴室全体の土台の解体や補修工事):約5万円前後
・電気工事(換気扇ダクト・照明やコンセント等の工事費用):約5万円前後
・配管工事 (水道管の配管費用):約8万円前後
・設備工事:約10万円~(工法により異なる)

在来工法の浴室

在来浴室の解体・処分費用は、浴槽や壁・床に用いられる素材・広さ等によって大きく変わりますが、約15万円~30万円の間となるケースが多いようです。

構造や素材に幅があり、その処分に比較的お金や時間がかかることが多い(タイルのはつり工事やその処分費など)ため、ユニットバスよりも費用は割高となります。

リフォームの流れとしては、ドアや周囲の造作物を取り外した後、浴室を運び出せる状態になるまで壁や床をはつり工事で解体してから浴室を撤去し、新たに設置する浴室の工法に合わせて基礎工事や配管作業に入ります。

システムバス(ユニットバス)

システムバスの解体・処分費用は、ユニット商品のメーカーやグレードによって上下しますが、約10~15万円となるケースが多いようです。

組み立てを簡単かつ効率的にするために生み出された商品ですので、解体時も比較的簡単な作業となります。壁・天井・床・浴槽といったひとかたまりのパーツを、組み立てた時とは逆にバラしていくようなイメージです。タイルを少しずつ削ったりする手間がないため、在来浴室よりも短時間で廃棄物も少なく済むことがほとんどです。

リフォームの流れとしては、在来工法と同じようにドアや周囲の造作物を取り外してからユニット部分を分解・撤去し、新たに設置する浴室の工法に合わせた基礎工事や配管作業に入ります。

お風呂の解体は普通の解体業者に依頼できる?

「解体」の部分に関しては、一般的な家屋の解体業者に依頼しても大抵は請け負ってくれるでしょう。ただし、一緒にリフォームを考えている場合は解体から設置までリフォーム会社に任せてしまった方がスムーズかつ安価である場合がほとんどです。

住宅を新築する際は、「解体」と「建築」で分離発注した方がお得になるケースが多いのですが、浴室のリフォームに関しては、解体業者の手間や専門性などの問題から、逆に割高となる可能性が高いためです。

とはいえ、浴室解体を得意とする解体業者もゼロではありませんので、「一連の流れを全てリフォーム会社にお願いした場合」と、「解体工事のみ解体業者に行ってもらう場合」とで費用にどの程度の差があるのか、それぞれに見積もりをお願いして比較をしてみても良いでしょう。

もしも解体業者の見積もりの方が安価で分離発注をすることになった場合は、リフォームを担当する会社との連携に不安のないよう、必ず情報共有をしっかりと行ってください。

まとめ

システムバスと在来浴室の解体やリフォームについてご紹介しました。

毎日浸かるお風呂ですので、後悔のないようにリフォームをしたいものですよね。自治体によっては、お風呂のリフォームに対して減税制度や補助金を用意しているところもあるようですので、ご自身がお住まいの地域でそのような制度が行われていないか、ぜひ一度調べてみてください。

古い浴室を解体した後、新たに設置する浴室について「このタイプを選んだ方が良い」ということは一概には言えませんが、どちらの工法にもメリット・デメリットがありますので、信頼できる工務店やリフォーム会社に理想を伝えた上でじっくり打ち合わせを行うことが重要となります。

「自分はお風呂に何を優先したいのだろう?」と、たまにはゆっくり考えてみてはいかがでしょうか。